設定としては近未来だが、航空機は全てレシプロだったり、クルマは1950年代だったり、東欧風路面電車が走っていたりと、キルドレに纏わる話を除いては未来というより過去っぽい、不思議な並行世界になっている。建物とかインテリアとか乗り物がやたらと渋くて良い。
押井節を控えめにしてエンターテインメントに振ったということだが、カタルシスのある話ではなく、淡々と続いていく。これは原作からしてそういう話なんだろうけど。一方、空戦シーンの描写は史上最高レベルの描き込みと思う。 色々謎だった事柄について推測してみた。原作読めばさくっと解決することが多そうな気もする。 以下ネタバレ含みます。
【前任パイロット、ジンロウと主人公の函南優一、ラストに出てきた新任パイロットの関係は?】
→オリジナルを同一とするクローン。これはキルドレそのものがそういう存在と思われる。「私は3人目だから(by綾波レイ)」
【草薙水素の娘、瑞希の父親は誰?】
→おそらくティーチャ。ティーチャは機体でしか登場しないが、キルドレではなく大人の男。水素は優一(と同タイプのキルドレ)と繰り返し恋仲になっていると思われるが、フーコが語った水素の過去に登場した男のシルエットは優一よりも大柄に見える。また、ティーチャに撃墜されたパイロットで生還した者はいないとされる。これは戦闘不能にした後もコクピットを狙って砲撃を加えたり、冒頭シーンのようにパラシュート脱出したパイロットを砲撃する等、やたら念入りにパイロットを殺すため。その中で、水素が2回撃墜されて2回とも帰還しているのはティーチャが情けをかけたとしか考えられない。
【ティーチャと優一の関係は?】
→おそらく優一のオリジナルがティーチャ。水素との関係、ティーチャに挑むときの台詞「I'll kill my father!」から。
【なぜティーチャには絶対勝てない?】
→水素曰く「ゲームの無敵設定キャラのようなもの」。多対多の空戦で絶対はありえないだろというツッコミはさておき、これはキルドレの「成長しない」というのが単に年を取らないということではなく、空戦技術の成長もないためではないだろうか。キルドレ最強のエースである優一が成長を止めたティーチャであるとすると、オリジナルのティーチャが更に年をとってピークを過ぎない限り勝てる目が無く、他のキルドレでは尚更。
クロラ(crawler = 無限軌道)というタイトルは、何度死んでも同じ姿で現れるキルドレのことをよく表していると思うが、果たして水素は優一の死後、何かを変えることができたのだろうか? クローンを扱った作品では、ふとしたことで全く同じ人物ではない事を確認して悲しむ描写があることが多いが、水素は既にジンロウや優一を同一人物として扱っているように思える。結局優一タイプのキルドレを通してティーチャを見ているだけ、という仮定もできてしまうが…。
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