ストーリーは無い。 穴掘って戦う準備をして、家族宛の手紙を書いて、 戦って戦って逃げて休んで戦って戦って休んで戦って、死んでいく。 後方勤務の仲間が色々と苦労して駆けずり回って色んな人を動かして、 ラストには援軍が現れて助けてくれるなんてことは勿論無く、 「援軍を送る余力無し。戦って死ね。」 との連絡が来るのみである。
絶望的な戦闘の開始を前にして、自決やバンザイアタックのような非合理な戦死を禁ずる守備隊司令官栗林と、持ち場からの撤退を恥とし、栗林の命令を無視して戦闘半ばで部下を玉砕させようとする部隊長。 どちらの選択肢も、最後に辿り着くところが戦死であるのは最初から明らか。絶望を約束された状況下で、どこまでも「理性的に」足掻き続けた栗林を支えるものは一体何だったのだろう。矜持と責任感なのか、自分達が苦しむ時間の分だけ、家族のいる本土への攻撃を遅らせることが出来るという希望なのか。
少なくとも自分の目には考証がまともだったり、アメリカ万歳だったりしないという点で、 この映画がハリウッド映画だということには驚いた。 ただ後で考えてみると、広く支持を集める作品になったのは、邦画でないために史観論争に巻き込まれずに済んだからかも。
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